北欧流のサステナビリティとは?各国の状況と注目の取り組み
今回は、サステナビリティについて北欧の事例を交えながらわかりやすく解説して行きたいと思います。
サステナビリティとは、英語でsustain(持続する)とable(〜できる)という意味をもつ言葉です。
現在、世界の人たちが共通の目標として取り組み始めているのが、サステナビリティのある社会の実現です。
サステナビリティのある社会とは「持続可能性のある社会」という意味で、地球の環境を壊さず、これから先も美しい地球で生活をし続けていける社会のことです。
北欧の国々のサステナビリティの状況
北欧の国々では、サステナブルな考え方は当たり前。Europe Sustainable Development Report 2020(※)によると、フィンランドは1位、スウェーデンは2位、デンマークは3位、ノルウェーは5位を獲得するほど社会のサステナブル化が進んでおり、政府や企業はSDGs(※)を元に様々な取り組みを行っています。ここからは、各国の状況をご紹介していきます。
※Europe Sustainable Development Report 2020とは
持続可能な開発目標(SDGs)に向けたヨーロッパとその他加盟国のサステナビリティの進捗状況を調査したレポート。
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで定められた世界の問題を解決するための開発目標。2030年までに達成すべき課題として貧困、飢餓、環境問題、経済成長、ジェンダーなどの17項目が含まれる。
・フィンランド
フィンランドは、行政が中心となって持続可能な社会構築への取り組みを積極的に進めている国です。元々、国連でSDGsが採択されるよりもずっと前から持続可能性という考え方が注目されてきました。現在では社会的にもSDGsの考え方がかなり浸透してきているそう。
フィンランドで特徴的なのが「コミットメント2050」というシステム。企業や個人が未来に向けて、持続可能性を推進する行動を目標化し、行動する仕組み。
また、2035年までに同国の二酸化炭素ネット排出量をゼロにすることを掲げています。2035年の二酸化炭素ネット排出量ゼロ目標は、世界各国の中でも最も早い時期になります。
・スウェーデン
貧しい農業国だったスウェーデンでは19世紀後半頃、経済危機と食料不足が原因で人口の4分の1にあたる約130万人が北米に移住してしまいました。そういった経験から、人々が暮らしやすい、いい国を造る福祉国家の基礎作りが始まりました。そういった元々の流れもあり、国が主体となり持続可能な社会の推進を長年行ってきました。また、スウェーデンの人々は、新しいものを積極的に取り入れる気質があります。
その結果、SDGs達成度ランキング上位の常連国として君臨しつづけ、企業もSDGsに向けた意識が高まっているのが特徴です。また、2045年までに排気量ゼロを目標を掲げています。
・デンマーク
デンマークは、2030年までにCO2排出量を1990年から70%削減、2050年までに国のCO2排出量をネットゼロ(※)にするカーボンニュートラル連合(CNC)への加盟を表明するなど、国を挙げて推進しています。デンマークの多くの企業もこの意志に賛同し、持続可能なビジネスモデルの構築に務めています。
※ネットゼロとは
建物などで消費されるエネルギーをまかなえる量のエネルギーを作ることにより、数字的にはプラスマイナスゼロになるという考え方。
また、コペンハーゲンはサステナビリティに対する先進的な取り組みから、欧州委員会から2014年にEuropean Green Capital(ヨーロッパの緑の首都)に選ばれたり、2025年までに世界初のカーボン・ニュートラル都市を目指すことを宣言するなど、意欲的な都市づくりが進んでいます。
・ノルウェー
山々に囲まれたノルウェーはその豊かな自然と水源から、水力発電に力を入れており、国の発電量の99%は水力発電です。 また、他国と同様にノルウェーは、2030年までの二酸化炭素ネット排出量ゼロを掲げています。
また、ノルウェー政府は美しい自然を保護することにも力を入れています。大型のクルーズ船などが美しい海を汚していることを懸念して、ノルウェー海事局は、国のフィヨルドでのいくつかの海運活動の禁止を提案しました。
・オーガニックへの取り組み
オーガニック製品は北欧ではポピュラーで一般的なものになっています。自然を大切にし、環境への負担を少なくするという観点はとても北欧らしい考え方なのではないでしょうか。
オーガニックの商品は高いイメージがありますが、ディスカウントスーパーでも自社オーガニック製品を展開しているため、手に取りやすくなっています。北欧では、オーガニックでない野菜しか置いていないスーパーを見つけるのが難しいほど。
サステナブル・ブランド・インデックス(SBI)の調査でも、オーガニックフードを始めとしたサステナブルな取り組みをしているスーパーマーケットは上位にランクインしています。特に、2020年調査でスウェーデン、ノルウェー、デンマークの3カ国で10位以内にランクインしているスーパーマーケット・コープ(COOP)は、人々の健康への配慮や少ない食物廃棄物などが評価されています。
・フードロスを減らす
北欧では、レストランやスーパーで消費期限が迫った食料品を安く購入できるアプリなどが普及しています。中でも有名なのが「Too Good To Go」というアプリ。デンマークのコペンハーゲンからスタートしたスタートアップ企業のサービスで、レストランやスーパー、パン屋、ホテルなどで余った食料を安価で購入することができます。使い方は簡単で、アプリで欲しい商品を見つけたら購入、指定された時間帯にお店に行くと受け取ることができます。
このアプリは、デンマークをはじめ、イギリス、オランダ、ドイツなどヨーロッパ圏内で広く使われています。
・自転車文化
北欧の国々では、自動車のかわりに自転車が主要な交通手段として活躍しています。特にデンマークのコペンハーゲンは世界でもっともバイク・フレンドリーな都市に選出されています。
コペンハーゲンは、2025年に向けたバイクシティ戦略「The City of Copenhagen’s Bicycle Strategy 2011–2025」を策定し、自転車専用レーンや自転車・歩行者専用ブリッジの建設を進めてきました。コペンハーゲンの市内を歩くと、ほとんどの道路に自転車専用レーンがあり、数多くの自転車を見つけることができます。
・バイオ経済の推進
北欧では、燃料も変化してきています。特にスウェーデンは国土の70%が森林であることを活かし、積極的に木材を利用した取り組みを行っているのも特徴的。ストックホルムでは様々な燃料のバスが走っていますが、なんとバイオ燃料で走るバスも。大きなバイオ発電所があり、木くずや家庭の生ごみから発電しています。
また、デンマークもバイオテクノロジーの開発が盛んな国。バイオマス(木材・海藻・生ゴミなどをはじめとする動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源)の利用は、1990年から2015年の間に約3.5倍になっています。
・不用品のリサイクル
北欧を訪れると「セカンドハンドショップ」を見かけることが多くあります。これは日本の古着屋やリサイクルショップのようなものです。もう着なくなった服を寄付すると、ショップが格安で売ります。そこから人件費や維持費を引いた分を各団体に寄付するスタイル。これらの多くは、赤十字や教会などの様々な団体が運営しています。
また、ノルウェーではFretex(フレテックス)というサービスもポピュラー。モノを廃棄せずに必要としている人に届けるために、面倒な手順をできるだけ省いたサービスです。駅周辺などに設置された赤い箱に不要になった衣服や靴などを無料で寄付します。穴が開いた靴下なども提供できます。寄付されたものは国内や発展途上国で売るか、修理してから売ったり寄付をします。もう使えない状態のものはエコバックや小物入れなどにリメイクされることも。
・パントシステム
「パントシステム」とは、アルミ缶やペットボトル、ビンをリサイクルするとお金が戻ってくるシステムのこと。ノルウェーやデンマーク、スウェーデンで導入されています。ほとんどのスーパーマーケットにリサクルマシーンが置かれていて、そこに缶やペットボトルを持っていくと、レシートが渡され、買い物の際に使うことができます。
Project Nordとサステナビリティ
北欧の様々な取り組みをご紹介してきましたが、私たちProject Nordは会社が設立されて以来、環境への影響を配慮したビジネスを行ってきました。
最も大きな取り組みのひとつとしてあげられるのが、TreeNationとの協業。私たちの製品が購入されるたびに、木を植えていきます。詳細は、企業的責任のページをご覧ください。
また、すべてのポスターはFSC認証紙を使用しています。これにより、環境的にも経済的にも持続可能な森林管理のもとで調達された木材を活用することができています。
そして印刷方法も、業界の最高の環境基準に達しています。水性、無溶剤、無臭のインクは換気を必要としません。またオンデマンド印刷を行うため、在庫を無駄にすることはありません。
私たちProject Nordはお部屋の飾り付けをより楽しくし、居心地の良い空間作りのためにおしゃれなポスターを提供するだけでなく、ポスター飾ることによって環境に貢献できるような活動をこれからもしていきます。
また、様々なアーティストとのコラボレーションにおいても、これらの活動をしています。
人権や平等性、世界が平和であることなどもサステナビリティを考える上で欠かせない要素です。
人間が人間らしく生きられるために、全ての面において持続可能性を意識することが大切だと言えます。